高気密・高断熱住宅のデメリットや弱点 ~夏涼しく冬暖かい エアサイクルの家~

2020.10.16 fri

省エネ住宅はこれからの当たり前

耐久・耐震性能やバリアフリー機能などと共に、今や「省エネルギー性能」は住まいの基本性能として欠かせない存在になりました。戸建て・マンションといった住宅形態や工法に関係なく、どんな住宅にも不可欠な性能といえるでしょう。

暮らしに必要なエネルギーを効率よく使用し、機能によっては電気や温水なども自ら創る省エネ住宅は、住まいのランニングコストを抑えてくれます。電気やガス代など月々の光熱費を下げるなど家計に優しいだけでなく、CO₂の発生を削減して温暖化を防止するなど、地球環境にとってもメリットの高い暮らし方です。

そんな高い省エネ性能を実現するためのポピュラーな手法が、住まいの「高気密・高断熱」化。簡単に言うと、気密化は「隙間をなくすこと」、断熱化は「室外の温度を遮断すること」で、共に室内の温熱環境を一定にするためのアプローチといえます。

高気密・高断熱住宅は外の暑さ・寒さからの影響を最小限にし、エアコンなど少ない冷暖房エネルギーで室内の温度をコントロールします。とくに冬場は部分暖房でなく、室内全体を一定の温度に保つため、温度差によるヒートショックなどの家庭内事故も防いでくれます。

冬場優先が引き起こすデメリット

高気密・高断熱住宅は、もともと冬場の寒さを防ぐことを主目的に開発されていきました。それは、日本での高気密・高断熱住宅が北海道から広まっていったことからもうかがえます。壁や屋根、床の断熱材を厚くしたり、窓を小さめにしてペアガラスを採用するなどで気密性を高め、冬場の寒い外気を室内に伝えないよう設計されたのです。

では、こうした設計は、夏場も無理なく機能するものでしょうか。

その高い気密性ゆえ、暑い外気をシャットアウトする働きをしてくれるでしょう。同時に、エアコンで冷やした室内の空気を外に逃がさない保冷効果も期待できます。しかし一方で、厚い断熱材が太陽光や外気によって蓄熱してしまい、適温になるまでに時間やコストがかかるという恐れが出てきます。また小さな窓は、自然な通風を抑制し、開放感を損ねることにもつながります。

これは人でいえば、1年365日厚着をしているようなもの。冬場の寒さには耐えられますが、夏になっても厚いコートを脱げず、仕方なくうちわで扇いでコートの内側に風を入れているようなものです。もちろん、屋根や外壁の遮熱性能を高めるなど、こうした夏場の問題を解決しようとする高気密・高断熱住宅も多々ありますが…。

寒さに強い住宅は、暑さにも強いとは限らない−−高気密・高断熱住宅のウィークポイントの1つといえます。兼好法師(吉田兼好)は徒然草の中で「家の作りやうは夏をむねとすべし」と説きました。エアコンの使用が当たり前になった昨今、気密・断熱性を高めた冬場に強い高気密・高断熱の住まいがベーシックになっていますが、バランスの悪い部分もあることは、住まい手が知っておくべきことでしょう。

そもそも南北に国土の長い日本は、地域によって気候風土が大きく異なっており、求められる断熱性能(等級)も違っています。それゆえ、省エネルギー性能以前に、その地域に合った適材適所の工法や仕様を導入した住まいづくりが欠かせないということです。住まいは夏を旨とするか冬を旨とするか。工法やビルダーの考えによって解釈は違うでしょうが、地域によって違いが必要なことだけは覚えておいてください。

高い気密性能が引き起こすトラブル例

これは基本中の基本なのですが、「高気密・高断熱化」は必ず「換気」とセットで計画する必要があります。つまり室内を気密化させると同時に、「空気を動かす」ことも重要なのです。人の身体のしくみを考えれば、酸素を採り入れ、二酸化炭素を排出する呼吸が欠かせないことは容易にイメージできるでしょう。住まいにおいても、汚れた空気や湿気等を室外に排出し、新鮮な空気を給気する必要があるのはいうまでもありません。

高気密・高断熱化された住まいの多くは自然換気がほとんど行われないため、ファンなどによる強制換気が必須です。しかし実際のところは、きちんと換気計画がなされていない高気密・高断熱住宅も少なくないようなのです。設計や施工段階できちんと換気機能が作用しない高気密・高断熱住宅がつくられているだけでなく、換気システムが付けられていても重要性を住まい手に説明せず、適切な換気がなされていないケースもあるようです。というのも、こうした換気は多くの場合24時間換気として給気側または排気側(あるいは両方)でファンを作動させますが、ファンのモーター音をうるさがってスイッチをオフにするような例をあちこちで聞くのです。また冬場、寒い風がスースー通るといって、同じように換気を止めてしまう話も多く聞きます。

高気密・高断熱化された空間のなかで換気機能をストップさせてしまうと、室内のちりやほこり、余分な湿気などが室外に排出されず、カビやダニなどの発生リスクが高まってしまいます。また、室内の建材等から放出されるホルムアルデヒドなどの有害物質が室内に留まってしまい、住まい手の健康を損ねるシックハウスを引き起こしかねません。天然素材の設備機器や建材をチョイスしても、塗料や接着剤などを少量でも使わざるを得ず、石油製品をゼロにすることはかなり難しいことです。加えて、冬場の結露のリスクも高まります。気密性が高いと室内で発生する水蒸気を外に放散しにくくなるためです。

いわば部屋が密閉されてしまうことで、住まい手へのさまざまな悪影響が見過ごせなくなってしまうのです。同時に建物の寿命も下げかねません。

エアサイクルは“呼吸する家”

エアサイクルの家は、これらの弱点をカバーした工法です。高い断熱性を持ちながらも、季節によって呼吸の仕方=換気能力をコントロールすることで、夏涼しく、冬暖かい温熱環境を実現しています。
なぜそのような“おいしい”話になるのでしょう。その秘密は、断熱材の中に「空気の通り道」があること、そして小屋裏(屋根裏)と床下に開閉できる換気口があり、季節に応じて通風を自在にコントロールできることにあります。
エアサイクルの家が、夏・冬でどう呼吸しているのか、簡単にご説明しましょう。

【夏場のイメージ】暑い空気を自然に追い出す

夏の暑い日、一般的な住宅は、断熱材等で室内が気密化されており、暑い空気を自然に追い出せない状態でいます。
一方エアサイクルの家には、断熱材の周囲に空気の通り道=エアサイクル層があります。そのため、一般的な家なら室内に留まってしまう暑い空気を、エアサイクルの家はエアサイクル層経由で小屋裏に運びます。夏場、小屋裏にある換気口は開かれており、暑く湿った空気を自然に外部に逃がすとともに、涼しい床下の空気を室内に送り込みます。
また夜間、外気温が室温より低くなると、今度は温度差によって室内の暑い空気が排熱され、代わって外の冷気が室内に入ってきます。冷気は床下や基礎コンクリートに蓄冷され、翌朝からの室温上昇を抑えてくれます。

【冬場のイメージ】暖かな南側の空気を室内各所に届ける

夏場オープンにしていた小屋裏と床下の換気口を、冬場はクローズ(閉める)。これによって建物の断熱性や気密性が高まり、冷たい外気をシャットアウトします。昼間、陽射しによって室内南側の空気が暖められますが、夏場は小屋裏に熱を逃がす役割を果たしていたエアサイクル層が、今度はその暖かな空気を室内各所に運んでくれるのです。夜間になると外気温や室温は下がっていきますが、日中に暖められた壁やコンクリートが放熱し、室温の急激な低下を抑えてくれます。

エアサイクル層という通気口が、夏と冬で違った役割を果たすことで、室内を1年中快適な空間に維持することがお分かりいただけるでしょうか。これらは空気のもともと持つ性質を利用しており、機械的な装置は含まれていません。つまりパッシブ=エコなシステムということです。
これらは特別な技術ではありません。日本古来の伝統的な民家には、もともとこうしたパッシブな家づくりの知恵があったのですから。エアサイクルの家は、そんな先人の知恵を継承し、現代に生かした、日本の風土に合った合理的な工法なのです。

よいパートナーと最良の家を

こうしてみると、近年の住まいの性能に欠かせないと思われている「高気密・高断熱」が、実はパーフェクトな効能ではないことに気づくでしょう。確かに高気密・高断熱化は、住まいの省エネルギー性能を高めるための一般的なアプローチですが、必ず採用しなくてはならないものでなく、別の方法で省エネ性能を獲得すればよいケースもあるわけです。つまり高気密・高断熱化は省エネルギー性能獲得のための「手段」であって、「目的」ではないのです。

大切なのは、省エネルギー性能を1年中いつでも無理なく発揮できる設計がなされた、地域と風土に合った工法やシステムを採り入れた住宅を正しく選ぶことです。そして、高気密・高断熱住宅のように、こうした仕組みを正しく理解し、説明や設計・施工のできるハウスビルダーや設計士との出逢いも重要といえるでしょう。

最良のパートナーと、ぜひ良質の住まいをつくり上げてください。

資料請求はこちら
特別キャンペーン開催中!詳しくはここから 特別キャンペーン開催中!詳しくはここから
閉じる