建築の断熱方法について知っておくべきこと

2021.05.21 fri

住宅の「断熱」とは?

夏は暑く冬は寒い日本において、一年中快適に暮らせる家を建てることは、みなさんの望む優先順位の高いことだと思います。そのためには、「断熱」のことをしっかりと考えて建てることが、とても重要になります。そこで今回は、建築の断熱について解説したいと思います。

前回の工法のところで解説しましたが、建物の構造躯体は基本的に「木」や「鉄」や「コンクリート」で作られています。

「鉄」や「コンクリート」に比べると、「木」の断熱性は高いのですが、やはりそれだけでは不十分です。よって、建物を覆う部分(外皮部分)に「断熱材」という部材を施工することで、建物全体の断熱性能が高まるということになります。

「外皮部分」というのは、「外壁」「屋根」「開口部」「床下又は基礎」という部分になり、ここをどのように断熱するかで、快適性や省エネ性だけでなく、耐久性まで大きく関わってくるということを覚えておいてほしいと思います。

建物の断熱方法には、大きく分類すると次の2種類に分かれます。

①「充填断熱」

… 建物の壁や屋根の構造躯体の中に断熱材を充填する方法

②「外断熱」

… 建物の構造躯体の外側を断熱材で覆う方法

 

この二つは、「建物を断熱する」という目的は同じですが、その手法が異なることにより、それぞれ特徴が分かれます。「どちらを選択すべきか」は、みなさんが家づくりにおいて何を重要視するかによります。その長所短所を把握したうえで選んでいただくと良いと思います。

① 充填断熱について

外壁部分は柱と柱の間、屋根部分は垂木の間や天井裏に断熱材が充填されます。充填断熱で使われる断熱材には様々な種類がありますが、一般的にはグラスウールという断熱材が最も多く使われています。他にもロックウールや現場発泡ウレタン、セルロースファイバーなどが断熱材として使われています。特徴としては、壁の中いっぱいに充填することが可能なので、それほど断熱性能が高くない断熱材でも、厚く施工することで、建物そのものの性能を上げることができます。よって、長所としては、コストが比較的安価で施工できるという点が最も大きいと思います。そういう理由もあり、多くの木造住宅で採用されています。

しかしながら、短所も存在します。大きな短所は2つです。

一つ目は、この手法では「柱」などの木材の間に断熱材を充填するので、木材部分は断熱材の効果を得られないということです。つまり、外壁面の「柱のあるところ、ないところ」で、断熱の性能の差が出てしまうということです。断熱材が充填されている部分はキチンと断熱されていますが、木材の部分は断熱性能が落ちてしまい、同じような壁でもその表面の温度に差が出てしまうということになります。特に外気温の低い冬の場合は、住み心地に影響がでてしまうということが課題です。

2つ目が結露の問題です。最近の木造住宅では、ボルト類などの金物がたくさん使用されています。この金物は柱や梁に備えられているので、当然、充填断熱ではこの金物も断熱されていない状態になります。金属は特に熱伝導率が高いので、外が寒いとダイレクトに冷たさを伝えてしまいます。最悪、そこで結露が起こったら木材の耐久性を著しく劣化させるという懸念があるのです。

充填断熱を採用している工務店さんには、このあたりをどう考慮して対策を講じているかを是非確認していただければと思います。

② 外断熱について

建物を外からすっぽりと、木材や金物を含めて断熱してしまう方法なので、充填断熱の短所で挙げられるような現象が起きにくいというのが長所です。壁の温度差がないということと、結露が起こる可能性が著しく低いということになり、心地よさや耐久性などが向上することになります。

短所としては、建物外側に断熱材を貼るので、外壁材によってはあまり厚い材が使えないことです。そのためには、薄くても断熱性能の高い断熱材を採用することになるので材料費が高くなります。また、施工も少々手間がかかるということもあり、結果として建築費のコストアップの要因になることが短所といえるでしょう。

また、断熱材の厚さ分だけ外壁自体が建物の外側に広がってしまうので、狭小地などはあまり向かないかもしれません。

「基礎断熱」と「床下断熱」について

建物の壁と天井は「外断熱」と「充填断熱」に分けましたが、基礎や床下部分はどう断熱するかも知っておいてほしいところです。

これも2種類あり、1階の床の下に断熱材を施工して、床下で断熱する方法が「床下断熱」です。ここでは、床下の部分は外部として扱い、基礎に換気口を付けて、一年中空気が流れるようになります。この換気が悪いと床下に湿気がこもり、木材を劣化させるので要注意です。

もう一つの方法が、基礎の立ち上がり部分そのものを断熱してしまう「基礎断熱」です。この場合、床下は部屋の内部と同様に考えますので、基礎断熱の場合、床下に湿気がこもる可能性は低いと言えます。ただ、これも基礎断熱に使う断熱材もシロアリにやられないような特殊なものを使うので、床下の断熱材よりもコストアップになってしまうことが短所といえるでしょう。

余談ですが、基礎断熱の場合は、床下に熱源を置いて「冬はその床下の温かい空気をゆっくりと家全体に回していく」という仕組みも最近は増えており、その手法を採用したい場合は「基礎断熱」は必須となります。

前回の工法のところでも解説しましたが、木材は日本の風土に合った優れた材料なのですが、湿気に弱いという大きな欠点があります。なので、木造住宅を建てる場合には木材を劣化させない施工が重要です。特に外壁部分の壁体内での「結露対策」が重要なのですが、その点においては「外断熱」が有利ということは間違いありません。

どれだけコストアップになるかは工務店によって異なると思いますが、そこもしっかりと確認して選んでください。

ちなみに「エアサイクルの家」は、この「外断熱」+「基礎断熱」を採用しています。

更に、季節によって壁の中や基礎の中も空気が流れるシステムになっているので、この湿気が籠ったり、結露が生じるというリスクを限りなく排除しているのが大きな特徴です。

次世代省エネ基準と「UA値」について

断熱の施工方法については以上のようになりますが、建物自体の断熱性能については、断熱手法とは関係なく「UA値」という数値で示すことができます。

これまでの建築基準法では、断熱性能についての基準が存在しませんでした。極端に言うと「断熱材がない家」でも建築確認を通ってしまうということが現実だったのです。

しかし、今年から建て主への「説明の義務」というルールが始まったので、これから家を建てる方にとっては、この「UA値」について耳にする機会が増えると思います。

「UA値」とは、冒頭でも解説した「外壁」「屋根・天井」「開口部」「床下又は基礎」のような、建物の外部を覆う部分(外皮)の断熱性を数値化したものです。

同じ建物でも、断熱材が施工されている「外壁面」と、サッシなどの「開口部」では、それぞれ断熱性能は大きく変わります。(通常は開口部の方が断熱性能は落ちる)

UA値の計算は、それらを平均化した数値になります。

なお、充填断熱の場合は、同じ「外壁部分」でも「柱」部分と「断熱材」部分で断熱性能は異なりますが、それも平均化して計算します。

なので、同じUA値の家であったとしても、厳密にいうと、部屋にいる時の実際の快適性は間取りや断熱方法によって異なるということになります。

しかし、一つの目安という意味で、その家自体の断熱性能を表す重要な数値として「UA値」は大事なので意識してほしいです。

このUA値は、値が低い方が断熱性能に優れており、全国の建てる地域によってその基準が定められています。例えば北海度ではUA値「0.46」ですが、九州では「0.87」です。

ご自分の地域の基準数値を確認して、建てようとする家の性能がどのくらいクリアしているかも、是非気にして確認していただければと思います。

 

これらの「断熱手法」や「UA値」などの意味合いを理解し、ご自分が依頼しようとする工務店がどのように取り組んでいるかを確認して、後悔のない、より良い家を建てていただければと思います。

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